展示会レポート:第9回 国際カーエレクトロニクス技術展

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第9回 国際カーエレクトロニクス技術展

本日より、東京ビッグサイトで開催しているオートモーティブワールド2017にある第9回 カーエレクトロニクス技術展のレポートです。昨今の自動車業界の流れから、自動運転、電気自動車に関わる製品、特にセンシング系の製品数が最も多かったと思います。

今回は、その中でも気になった製品3点に絞りレポートさせて頂ければと思います。

Qualcomm社 HALO

まずは、Qualcomm社のHALOです。この製品は、電気自動車をコードレスで充電する仕組みです。パーキングエリアに、このHALOを組み込んでいくことで非接触充電できる仕組みが構築できます。

QUALCOMMのブース全体

QUALCOMMのブース全体

今回の展示では、BMW i8にHALOを利用したものを展示していました。これだけの容量のバッテリをワイヤレスで充電するとなると、どのくらいの時間が掛かるのでしょうか。なんと、1時間でフルチャージできます。そのため充電電力は7.2kWと非常に高いものになっています。(※日経BP社のITPro 「[第3回]電気自動車向けワイヤレス充電の最新動向」より)

今後このような充電モジュールをコンビニの駐車場や道路の停止線の辺りに埋め込むことが出来れば、航続距離を伸ばすために大きなバッテリを詰む必要がないので、面白い試みになるのかも知れません。

QUALCOMM HELOとBMW i8

QUALCOMM HELOとBMW i8

Formura Eのセーフティーカーとして、BMW i8が採用されており、その充電システムとしてコードレスで充電できるQualcommのHALOが採用されたという話が、Qualcomm 社のHALOの紹介ビデオにありました。

Formula E BMW i8 Qualcomm Safety car wirelessly charged at Donington Park

EV向けワイヤレス充電は期待が大きいのですが、残念なことに未だ統一された規格が出来ていません。

国際規格としては、IEC 61980とISO 19363の2つがあり、IEC 61980は、子規格の第一部のみ規格化されています。また、後者のISO 19363については、昨年までは規格化されていませんでしたが、昨日(2017/1/17)にPublishedされるという、この展示会に合わせたような(笑)タイミングで規格化されています。

いずれにせよ、ダブルスタンダードはメーカーにとってもユーザーにとっても負担にしかならないので、早く統合されることを期待します。

≪EV向けワイヤレス充電の規格≫
IEC 61980
ISO 19363

Cypress社Traveo

Cypress社では、車のインパネをアナログメーターやナビゲーションなどのデジタル表示(2D/3D対応)も統合できるTraveoファミリMCUクラスタソリューションを展示していました。

CYPRESS社のブース

CYPRESS社のブース

自動車業界にCortexシリーズを広げていきたいARM社としては、Cypress社のようなベンダー各社の応用製品に期待を寄せたいところだと思います。

民生用の製品と異なり、自動車関連製品は耐性などの目に見えない性能が求められます。これらの性能を信頼出来るところまで引き上げ、実績を積んでいくことが必要です。

逆に、自動車メーカー側としては、これらの統合製品を使用することで 、システム全体でコストを低減していくことが可能となるはずです。

また、ソフトウェアエンジニアのためのライブラリが、まだまだ整備されていない印象を持っています。これらのハードウェア上で動かすソフトウェアが作りやすくなるのかによって、統合される機能が大きく変わってくる気もします。

しかし、自動車においては、安全性が何よりも重視されるので、その辺も考慮に入れる必要があります。ですので、様々な機能を何でもかんでも詰め込むというわけにはいかないのでしょうね。

≪Cypress社の S6J33xxシリーズの製品ページ≫
Traveo S6J331x Simple 2D Graphics + Single HyperBus ARM® Cortex®-R5 MCU

萩原電気社 R-Car 電子ミラー

萩原電気社のブースでは、ルネサス社のR-Car Consortiumの関連製品として、電子ミラー応用技術を展示していました。

萩原電気社のブース

萩原電気社のブース

この電子ミラーは、Renesasの R-Carファミリ製品の第1段製品 R-Car V2H を使用した実装例になります。サラウンドモニタリングを行うために複数のカメラの画像をリアルタイムに結合し、歪みのないキレイな画像を表示させる技術です。

今後、この出力先がヘッドアップディスプレイになるのか、コンソール上に統合されるのか、はたまたARゴーグル的なものに表示されるのか、映像の出力先が気になってきます。

≪参考≫
R-Car V2H 概要(ルネサス社)
電子ミラー応用例 ブラインドレスビュー(荻原電気社 PDF資料)

まとめ

今回は、展示会を回る時間が少なかったため、3社の展示内容だけをレポートさせて頂きました。

基本的には、出尽くした感じがあるカーエレクトロニクス関連の製品群ですが、個々の製品を見ていくとまだまだ発展途上のものも多く、それぞれが個別に処理しているものもは、いずれ統合されていくでしょう。

また、(当たり前ではありますが)各社の製品は、既存の車の概念の中で創意工夫された製品です。今後、車の概念が大きく変わるとき、必要とされる機能や形状が変わっていくのだと思います。

例えば、バックミラーやサイドミラーなどは、将来においては無くなる可能性が高く(既に実証実験もされていますよね)、それらがヘッドアップディスプレイやコンソールに統合されていくと、そもそもドライバーシート周りの形状も大きく変わるはずです。

まだまだ、進化していく自動車と関連する製品を思うと、来年の展示会も今から楽しみです。

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