長らく変革の無かった2つの産業に大きな波が訪れています。それは、自動車業界と印刷業界です。これらの変革の中心には、インターネットを中心としたデジタル革命の影響があり、今までは想像も出来なかったことが起きようとしています。
変革の真っ只中にいる自動車業界
自動車産業が生まれて、250年。ニコラ・ジョセフ・キュニョーによって発明された世界初の自動車は、蒸気機関で動いていました。250年にも渡る歴史の中で車という道具は、動力を元に車体を動かし、人や物をある地点から別の地点に移動させるという意味において大きく様変わりしていません。また、ガソリン、電気、水素など内燃機関を動かす仕組みが変わってきていますが、これも変革と言うよりも順当な進化に過ぎません。
ところが、ここ数年の出来事、つまりインターネットをベースとしたIT革命、ありとあらゆる所にIoTをベースとした考えが広がっていくと、この移動手段としての車に大きなインパクトを与えるようになってきたのです。
テスラ社やUber社に代表されるような、自動車産業に属していないプレイヤーが続々と参入し、これまでの業界の常識を覆す方法で、物作りという点においても、製品やサービスという点においても、新たな概念や価値を作り出そうとしています。
これは、250年もの間、メーカー側も消費者側も変わることは想像さえも出来なかったことが、突如として現れたのです。分かりやすい変化で言えば、所有から利用という物への欲求の変化、マニュアルから自動運転という操作そのものを無くしていく変化、そういった変化がIoTやAIなどの現実的に利用可能な技術となってきています。デジタル技術の発展によって、古い産業や製品のあり方そのものを大きく変えていく可能性を示唆しています。
これから変革を迎える印刷業界
自動車産業よりも、長らく大きな変化のなかった産業があります。それは、印刷業界です。ヨハネス・グーテンベルクによって約500年以上も前に活版印刷技術が発明され、その印刷革命が起きてから今日に至るまで、印刷物を作る側の変化はありましたが、消費者を含めた産業全体の変革は全く起きなかった業界です。
今日、先の自動車業界の例にもれず、500年以上も変わらずにいた印刷業界にも大きな変革をもたらそうとしているのが、インターネットをベースとしたデジタル技術によるものです。
紙をデジタルに置き換えようと幾多もの企業が試みてきましたが、今日現在において大きな変革は起きていません。もちろん、DTPによる制作者側のデジタル化や電子書籍市場の広がりもありますが、これが変革なのかと言われると、変革と言えるほどの革新性はありません。それは、紙をデジタルに変えたくても、紙を超えるデバイスが現れていないからです。もちろん、ソフトウェア側の課題もあるでしょう。
紙の利点は、取り扱う人に著しく親和性が高い点であることは言うまでもありませんが、紙であるが故に制約事項も大きいことも事実です。例えば、カタログ通販や大手メーカーの総合カタログを見ると、製品ごとに素敵な写真とともに紹介されています。眺めるだけでも楽しいですし、新たに欲しい商品を見つける機会にもなっています。
しかし、総合カタログであるが故に全ての商品を同じ粒度、つまり等しい情報量で掲載することが出来ないのです。販売側としては、売れる商品には多くのページ数を割き、売れない商品にはページ数を割きたくない。それは、ひとえに総合カタログのコストに直結するからです。
全ての商品の説明を含めて詳細な情報まで乗せると、百科事典よりも分厚くなるため、現実的ではありませんし、例え売れ筋商品であっても、カタログ全体のバランスなどの観点などから載せられる情報には限りがあります。
デジタルによって生まれる紙の新たな価値
これらの制限をとる方法はあるのでしょうか。紙ではなく、デジタル、つまりウェブサイトや電子書籍であれば、これらの制限を取ることは可能です。デジタル化した情報には、ページ数の制限はないからです。もちろん、サーバーや通信などのデータ容量という制限はありますが、それは時代が進むにつれ無視してもいい状況になってきていることも周知の事実です。ですが、先に触れたようにデジタルに対する課題も大きく、紙を置き換えるまでの変革には至っておりません。
これまで、紙そのものの制約は受け入れざるを得ませんでした。逆にデジタルもデジタルそのものの制約がありました。しかし、先のIoTに始まる革命によって、紙の世界とデジタルの世界が共鳴し、紙を取り巻く環境にも変革の波が訪れてきています。
紙とデジタルとの組み合わせによって、顧客がウェブサイトで検索した過去の製品やサービスの履歴、同様の製品に興味をもった人が最終的に購入した製品やサービス、顧客が興味のある製品やサービスのオプション品など、これらを組み合わせて、顧客に応じた最適な商品やサービスのカタログをオンデマンドで印刷し、送付できるとしたら、どうでしょうか。
これまで、B2Bの営業現場では、顧客に印刷物を手渡しした場合、いつ、どこで、だれが、どの製品を、誰に、手渡したのかを記録することは出来ませんでした。また、その顧客に最適な資料を添えることも、手渡しする営業担当者のスキルに依存してきました。
それが、IoTとデジタル印刷の組み合わせで解決出来る世界を示し、印刷の世界に変革をもたらそうとしているプロダクトがあります。それが、フライデーナイト社のCodenberg.io(コーデンベルク)です。
変革への参画が、APIによって得られる
Apple CEO スティーブ・ジョブズ氏が、iPhoneの発表会で
数年に一度、全てを変えてしまう新製品が現れる。それを一度でも成し遂げることができれば幸運だ。
と語ったのを思い出します。
旧来然としている長い歴史のある産業に、デジタル技術によって変革の時期が訪れています。それは、変革のキッカケをもたらす製品やサービスを業界に持ち込んできたプレーヤー、つまり勇気あるベンチャー企業のみが為し得ることなのです。
500年もの間、変わらなかった紙という製品や業界が、今ここに大きな変革を迎えています。今までの紙の制約を取っ払い、パーソナライズされ、リアルタイムなトラッキング情報として、ありとあらゆる紙とデジタルが連動する世界が開かれようとしています。
我々は、ただ傍観するのではなく、紙のあり方をAPIを通して自らの手で作り上げていくチャンスが得られたのです。
そう、Codenberg.ioによって。