展示会レポート:第3回ウェアラブルEXPO

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第3回ウェアラブルEXPO

東京ビッグサイトで開催されていたウェラブルEXPOのレポートです。各社の展示は、最終製品に近いものが多く、技術者の目にとまるような製品は皆無でしたが、1社だけキラリと光るエッジの効いた展示がありましたので、そのレポートをお送りします。

開発者にとって、目新しいものは皆無だった

今回で、3回目となるウェアラブルEXPOですが、新たな製品は殆ど無く、ほぼ収穫のない展示会でした。もちろん、筆者自身の目的と出展側のニーズがあっていないだけかもしれません。

そのような中、1社だけキラリと光る企業がありました。それは、アナログ半導体メーカーであるSIIセミコンダクタ社です。

SIIセミコンダクタ社のブース

SIIセミコンダクタ社のブース

SIIセミコンダクタ社は、2015年9月にセイコーインスツル株式会社と株式会社日本政策投資銀行との共同出資で設立された企業です。セイコーグループで築き上げてきた、アナログ半導体技術を用いた製品を製造販売している企業です。

製品そのものではなく、何が実現出来るかを展示

同社の展示内容は、製品ではなく応用範囲を示した試作品で、どの試作品も同社の半導体を利用した、微弱な電流・電圧を蓄電し、溜まった電力を使い各種機能を実行するというものです。

中でも、CLEAN_アグローブは、土壌発電を利用した周辺環境や土壌の見える化を示したグローブの試作品となっており、これまで二次電池などの電力を必要としていたものを土壌の中にある微生物を使って電力を蓄え、蓄えた電力を使って各種センサーから拾ったデータを送信するというものです。

CLEAN_アグローブ

CLEAN_アグローブ

なぜ、土壌から発電できるのかというと、スプーン1杯の土には数十億の細菌がいるのですが、その中でも発電菌という有機物を分解する際に電子を放出する細菌がいるのです。代表的な発電菌にシュワネラ菌があり、無酸素のときに電極に電子を渡すことが出来るので、その電子を集めることで発電ができるという仕組みです。

土壌から電力が得られることにも驚きましたが、その微量の電力を吸い上げ、貯めてから使用するという技術にも驚きを隠せません。

SIIセミコンダクタ社が示す最終製品

展示品の中では、このCLEAN_アグローブが最もインパクトがあったのですが、その他にも、

  • CLEAN_サンバイザ(太陽電池により、紫外線センサや脳波センサを駆動する
  • CLEAN_アセパッチ(バイオ発電による発汗センサー)
  • CLEAN_エコマウス(温度差とクリック動作のハイブリッド発電により駆動するワイヤレスマウス)

などが、パネル展示されており、同社の半導体を利用してどのような応用製品が作れるのかをイメージしやすく、技術者に伝わりやすいと感じました。

また、これらの製品を作るための半導体として、

  • 小型LOW POWER電源IC
  • UV-A、UV-B対応の紫外線センサー

などが用意されており、これらの製品コンセプト CLEAN-Boost で、電池レスによる製品開発が可能になったことを示していました。

展示会のパネルデータは、下記のページからダウンロードできます。(2017年2月末日まで)

http://www.sii-ic.com/jp/semicon/wearable2017/panel/

セミナーも好評、立ち見も含めて150人以上の集客

同会場のセミナーブースで、同社のCLEAN-Boostに関するセミナーが開催されましたが、用意されていた100席は開始15分前には埋まり、立ち見で50人以上も集まり、大変盛況なセミナーでした。

CLEAN_Boostセミナー(SIIセミコンダクタ社)

CLEAN_Boostセミナー(SIIセミコンダクタ社)

やはり、同社の技術が他に類を見ないほど、エッジが効いていることや二次電池以外の電力源をどう確保するのかに、多くの関心が集まっていることを確信させられる結果だったと言えます。

二次電池のいらない世界を目指して

同社の製品が最終製品に活用されると、二次電池など環境負担の大きいものは排除され、より自然に優しいテクノロジが使えるようになるのではないでしょうか。

そういう意味で、今回のSIIセミコンダクタ社の製品はワクワクしましたし、将来において高い期待が持てる展示だと思います。

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