出展者は未来を示し、現在を売れ!

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先日、ウェアラブルEXPOの展示会レポートを執筆いたしましたが、同時にいくつかのご質問を頂きました。「SIIセミコンダクタ社の展示内容の何が優れていたのか」、「顧客である開発者には、どのように評価されたのか」、「売上に直結しないのではないか」という、ご質問に対する回答です。

SIIセミコンダクタ社の展示内容の何が優れていたのか

同社の展示内容が優れていたのは、製品そのものではなく、コンセプトを示したことであり、そのコンセプトで何が実現できるのか、を具体的に表したことにつきます。

一般的に、展示会には2つの側面があります。1つは、商談の機会を広げられるということ、もう1つは、まだ未知のもの(製品やコンセプト)に対しての意見を収集できること、という2つの側面です。

ウェアラブルEXPOの主旨は、「最新のウェアラブル端末から、IoT、AR/VR技術、最新ウェアラブルデバイス開発のための部品・材料まで、ウェアラブルに関する全てが出展します。貴社技術の売り込み・提案、共同開発・アライアンスの模索などに絶好の場となります。」と、ウェブサイトで説明されています。

特に後段の「貴社技術の売り込み・提案、共同開発・アライアンスの模索などに絶好の場となります。」とあるとおり、何かを開発しようとしている開発者が、新たな技術や製品を探しに来ており、彼らとの意見交換の中で売り込みや提案、共同開発などの模索が出来るのが、この展示会の狙いです。

展示会の出展内容が現行製品ばかりであれば、わざわざ展示会に足を運ぶ必要性はありません。その製品の情報が欲しければ、販売先に問い合わせればいいだけですから。

同社がコンセプトや、そのコンセプトに基づいた試作品を見せることで、開発者の注目を浴び、いろいろな意見を吸い上げることが出来たという点が素晴らしいのです。

この展示会の狙い通りのことが出来ていたのです。

顧客である開発者には、どのように評価されたのか

例えば、現在開発中の製品に必要な技術を探しに来ている開発者がいるとします。この開発者が求めている技術製品を販売している出展者のうち、1社は現行製品だけを展示してます。もう一方の企業は、ロードマップ上で予定されている将来の製品と現行製品を展示しています。

この場合、価格や品質が同じ場合、開発者はどちらの製品を購入するでしょうか。おそらく、後者の製品ではないでしょうか。もちろん、前者も後者も同等の技術力の会社である限り、製品そのものに違いはありません。

しかし、開発者側から考えると、現行製品の良し悪しもさることながら、自らが開発した製品を将来に渡って改善することを見据えた場合、どのメーカーが良いのかも含めて検討することになります。

つまり、技術製品の未来であるコンセプトを示すことで、その製品を採用する開発者が将来に渡っての安心感を得ることができ、(未来の評価を含めて)製品を購入することができるのです。

売上に直結しないのではないか

このようなコンセプトベースの展示を行うと、社内からは「売上に直結しないのではないか?」という疑問が上がってくると思います。もちろん、売上という点においては、直接的なアピールをしていないため、即効性のある結果が得られないことは明かです。

しかし、展示会という性質を考えたときに、出展している企業が、どのような技術を保有し、将来に渡って何を開発していくのかが、顧客である開発者にとって最も価値のある情報となるのです。

顧客である開発者は、各社の将来を見据えた製品を見ながら、どの現行製品を購入するのかを検討しています。近い将来、この製品が半分の大きさになるとか、消費電力が1/3になるとか、次の世代では〇〇という機能が付与されるとか、このような将来における約束が、現行製品を購入するための後押しになるのです。

近い将来、必要としている機能や性能が約束されているのであれば、将来の技術や製品を見せていない企業よりも魅力的に映るのです。ですので、即効性は得られませんが、中長期的な視点で考えたときには売上に必ず貢献してきます。

未来を開示することで得られるもの

今回の展示会では、コンセプトを通して製品を見せていた数少ない企業がSIIセミコンダクタ社です。もちろん、出展目的が各社ごとに異なっていますし、必ずしもコンセプトベースで進める必要はないと思います。

ですが、今回の展示会に限って言うと、あまりにも顧客である技術者の視点がないため、もう少し同社のような企業が増えることを願っています。未来を開示することで、協業に繋がることもあると思いますし、何よりも実現可能なことが見えてくることで、その製品やブランドの価値が上がっていくのです。

出し惜しみせず、将来のコンセプトを見せることで、顧客の心を掴みましょう。

そう、

出展者は未来を示し、現在を売れ!

という一言に尽きます。

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