通巻7号)誰にコンテンツを届けていますか

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どのようなコンテンツであるべきか

最終コンペで落選した。自社の製品は他のライバル企業と比較しても優位性があり、なによりも使い勝手が良い。現場担当者へのデモンストレーションも評価が高く、提案時のプレゼンテーションも上々であった。

しかし、コンペでは落選となり、その理由が分からないままである。このような経験、読者の方々にも有るのではないだろうか。BtoBの現場においては複数の利害関係者がおり、例え業界で優位な立場であっても、一筋縄ではいかないものである。

そこにデジタルマーケティング、特にコンテンツが重要な役割を担うのである。よって、どのようなコンテンツを作るべきなのかと言うのが、まず最初に検討しておくべき事である。

実名制のFAQサイトであるQuoraに出ていた質問「コンテンツマーケティングで、初心者がしてしまいがちな間違いは何ですか?」で、回答しているので参考にしていただきたい。

上記の回答からも分かるように、どのようなコンテンツであるべきかは非常にシンプルで簡単である。しかし、実際にコンテンツを制作しようとした際、具体的な内容が出てこないこともおおいのではないだろうか。

コンテンツを消費する顧客

あなたのコンテンツは、最終的に誰かに届けなければならない。その誰かを想像出来ていないから、どのような内容のコンテンツを制作すべきかが分からないのである。そのための道具として、ペルソナがある。ペルソナを定義することで、あなたの企業の製品やサービスを顧客のどのような課題に対して解決できるのかが明らかになるだけでは無く、顕在的なもの、つまり顧客が認識していない課題を引き出せるところにコンテンツの面白さがある。

少し古い話ではあるが、2000年初頭頃に支援した大手家電メーカーの事例を元に、どのようなコンテンツが良いのかを考えてみることにする。その製品は、食器洗い洗浄機である。当時はまだ珍しく、各家庭で導入しているところは少ないばかりか、家電売り場にも並んでいる商品は数少ないころである。

当時のコンテンツは、食器洗い洗浄機の機能や性能に着目したコンテンツばかりであった。何枚の食器が洗えるのか、洗浄力はどのくらいか、節水効果を示したり、設置場所の話であったり、このような機能や性能に関するコンテンツだけが用意されていた。

しかし、主婦(または夫)の抱えている悩みは別の軸にあったのである。食器洗いを自動化するのは、主婦業をサボることではないかという後ろめたさである。共働きの世帯ですら、同じような考えがあり、商品を購入するところまで至らないのである。

そこで、顧客が抱える課題を解決するコンテンツの出番である。つまり、彼ら彼女らの抱えている後ろめたさの解消が重要なコンテンツとなるのである。購入の後押しや、周りの人たちへのいいわけが出来る材料、もしくは、これからのライフスタイルを示せるという優越感に焦点をあてると自ずと答えが見つかるのである。

重要なことは、これらのコンテンツがお客様のライフスタイルを豊かに出来るということをストーリー展開でお見せすることである。例えば、早朝から深夜までの一日のライフスタイルが、どのように変わるのか。失われていた時間、逆に言えば生まれる時間で、明日からの生活がどのように変わっていくのか、という具体的なストーリーである。

これらのコンテンツを消費して、製品やサービスに対する期待感が高まってくるのである。

BtoB向けコンテンツは異なる見せ方と時間軸が重要

BtoBの場合は、少し複雑になる。「通巻6号 ペルソナが映し出す顧客組織の関係性」でもお伝えしたが、職責ごとに異なる関心事や課題があるからである。では、どのように考えてコンテンツを制作すればいいのだろうか。

実は、分かりやすい実例が雑誌にある。日経BP社が発行している雑誌には、同じテーマを扱っても異なる内容にして届けているのである。例えば、VRをテーマにした記事が掲載されたとしたら、どの様な記事になるのかを考えてみる。

雑誌「日経コンピュータ」では、VRを使って開発するには、どのようなものを揃える必要があるのかなどの記事を掲載し、「日経情報ストラテジー」では、VRがビジネスにもたらす効果を訴える必要がある。また、「日経ビジネス」では、VRが生み出す新たなビジネスについて先進事例と共に示すべきである。

このように「日経コンピュータ」は、現場のエンジニアに向けた雑誌であり、「日経情報ストラテジー」はビジネスキーパーソン、「日経ビジネス」は経営層向けと、読者層を分けて雑誌作りを行っている。(※1)

一方で、あなたの会社のコンテンツは、職責や職域に応じた内容を提供できているだろうか。あなたの製品やサービスを検討するとき、顧客の利害関係者ごとに関心事や課題が異なるはずである。冒頭でも述べたが、顧客へ提案した結果、現場では高い評価を頂けたのに不採用になったことは無いだろうか。その逆も、またしかりである。

また、BtoBの場合、時間軸も重要な考慮すべき要素となる。というのも、検討から導入決定までの期間が長いのが、BtoBの特徴でもある。つまり、提案時に全ての情報を顧客に提供しても消化不良となるのだ。普段から顧客に対して、どのようなコンテンツをいつ届けるべきかを考えて提供していくことが重要である。

普段から顧客接点を増やしていくこと、つまり読まれる興味深いコンテンツを職域ごとに提供し続けていくことが、顧客との関係性を育み、長期的なお付き合いと繋がっていくのである。さらに掘り下げた具体的な記事は、別の機会で述べたいと思う。

(※1)日経BP社の読者層の想定と異なるかも知れないが、説明の便宜上、このような定義にさせていただいた

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